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# 数学記号記法一覧

## はじめに

数学の解説に関しては、普段私が用いているルールに則った記号・記法を用いる。式を読んでいて文字が何を指しているかわからなくなったらここを確認してほしい。

## 列挙

もっとも注意すべきは私が勝手に用いている**列挙**（enumerate）の記号であり、

$$
\overset{n}{\underset{i=1}{\sf E}} x \_ i = x \_ 1, x \_ 2, \ldots, x \_ n
$$

を表すものである。列挙の範囲が文脈から明確ならば

$$
\operatorname{{\sf E}} x \_ i = x \_ 1, x \_ 2, \ldots, x \_ n
$$

と書くこともあるし、添字が複数あるならば列挙したい文字を指定して

$$
\underset{i}{\operatorname{{\sf E}}} , x \_ {ij} = x \_ {1j}, x \_ {2j}, \ldots, x \_ {nj}
$$

と書くこともある。

この記法は集合、ベクトルや数の組などを

$$
\begin{aligned}
\left{ \operatorname{{\sf E}} x \_ i \right} &= { x \_ 1, x \_ 2, \ldots, x \_ n } \\
\left( \operatorname{{\sf E}} x \_ i \right) &= ( x \_ 1, x \_ 2, \ldots, x \_ n )
\end{aligned}
$$

と表記できるし、複数の等式制約などを表記するときも

$$
\underset{i}{\operatorname{{\sf E}}} \left{g \_ i (x) = c \_ i \right}
$$

と書けるので非常に便利である。列挙の記法はあくまで私が勝手に用いているだけで一般的ではないため、なるべく使わないよう心がけるが、たとえば複数の等式制約を

$$
g \_ i (x) = c \_ i \quad i \in {1,2, \ldots, n}
$$

と書くよりも楽なのでときどき使うことがある。

ちなみに列挙の右下に2項演算子$$\ast$$を置くことで、列挙中のコンマ( , )を演算子で置き換える操作も定義しておくと面白い。つまり

$$
\operatorname{{\sf E}} \_ \ast x \_ i = x \_ 1 \ast x \_ 2 \ast  \cdots \ast x \_ n
$$

とすれば、総和$$\Sigma$$や総乗$$\Pi$$を

$$
\begin{aligned}
\Sigma = \operatorname{{\sf E}} \_ + \\
\Pi = \operatorname{{\sf E}} \_ \times
\end{aligned}
$$

と定義できる（独自の記法を積み重ねると誰も読めなくなるので解説中は決して使わないが）。

紙面を節約しつつ混乱を防げるのでかなり便利な記法だと思うのだが、なぜ誰も発明しなかったのだろう（数学の歴史は長いので誰かは発明していると思うのだが、なぜ一般的ではないのだろう）。

## 添字

添字は本書中でも少なくとも

1. 冪乗の指数
2. 共変の添字
3. 反変の添字
4. イテレーションの何回目かを表す添字
5. 何番目のデータかを表す添字
6. 空間やノルムの種類を表す添字

の6種類の用途で用いられる。6番目については誤解することはほぼないだろうが、それ以外は混乱を招きやすいので、原則として

1. 上付き添字
   * 反変の添字
   * 冪乗の指数
   * ( )付きで、何番目のデータかを表す添字
2. 下付き添字
   * 共変の添字
   * イテレーションの添字
   * 空間やノルムの種類を表す添字

とする。例外として

* 反変共変があまり重要でないとき、ベクトルの$$i$$番目の成分を下付き添字で表す

こともある。

添字が3つ以上ある場合はどういう記号法を用いるか説明するよう心がけるので文脈から判断してほしい。一応、いくつか私がよく使う例を挙げておく。

1. $$x$$の$$n$$乗：$$x ^ n$$または$$(x) ^ n$$
2. $$x$$の$$i$$番目の反変成分：$$x ^ i$$
3. $$x$$の$$i$$番目の共変成分：$$x \_ i$$
4. $$k$$回目のイテレーションにおける$$x$$：$$x \_ k$$または$$x \_ {(k)}$$
5. $$i$$番目に観測されたデータ$$x$$：$$x ^ {(i)}$$

上記で2種類記法があるものは、紛らわしい場合に右側のものを使う。つまり$$k$$回目のイテレーションにおける​$$l$$番目の変数​$$x$$の反変​$$i$$番目、共変​$$j$$番目の​$$n$$乗を

$$
\left(x ^ {i , (l)} \_  {j , (k)} \right) ^ n
$$

で表すものとし、誤解のない範囲で必要ない添字や ( ) を適宜省略する。この記法では添字が5種類まで使えることになるのでほぼ困ることはない。

## 観測したデータの集合

観測したデータの集合は慣習にならって$$\mathcal{D}$$でおく。ラベルつきデータの場合は

$$
\begin{aligned}
\mathcal{D} &= \left{ (x ^ {(1)}, y ^ {(1)}),  (x ^ {(2)}, y ^ {(2)}), \ldots, (x ^ {(n)}, y ^ {(n)}) \right} \\
&= \left{ \operatorname{{\sf E}} , (x ^ {(i)}, y ^ {(i)}) \right}
\end{aligned}
$$

であり、ラベルなしの場合は

$$
\begin{aligned}
\mathcal{D} &= \left{ x ^ {(1)}, x ^ {(2)}, \ldots, x ^ {(n)} \right} \\
&= \left{ \operatorname{{\sf E}} , x ^ {(i)} \right}
\end{aligned}
$$

である。いずれの場合も$$i$$番目のデータを

$$
\mathcal{D} ^ {(i)}
$$

と表すことがある。

## スカラー、ベクトル、行列など

スカラーとベクトルを太字で区別することは基本的にはしない。説明の始めのほうに$$x \in \mathbb{R}$$と書いてあったら$$x$$はスカラー（実数）であり、$$x \in \mathbb{R} ^ n$$と書かれていたら$$x$$は$$n$$次元のベクトル（実数ベクトル）である。

代わりに$$a,b,c,k$$などはスカラー、$$x, y, m$$などはベクトルといったように、使う文字は極力区別するよう配慮する。状況にもよるが、大雑把には

* $$a,b,c,d$$：スカラー
* $$e$$：基底
* $$f,g$$：関数
* $$h$$：スカラー、関数、ベクトルなど臨機応変に使う
* $$i,j,k,l$$：添字
* $$m,n$$：次元数、データの要素数など
* $$o$$：$$0$$と非常に紛らわしいので用いない
* $$p,q,r,s,t$$：スカラー、ベクトルなど臨機応変に使う
* $$u,v,w,x,y,z$$：主にベクトルを表すのに使う。ベクトルの1次元の場合としてスカラーに用いることがある。

という区別をしている。ギリシャ文字も大体この規則に従う。

$$x \in \mathbb{R} ^ n$$と書いたとき$$x$$は行列表記において**列ベクトル**であるとする。$$x ^ \mathrm{T}$$は**行ベクトル**である。行ベクトルは$$x ^ \mathrm{T} = (x  \_ 1, x \_  2, \ldots, x \_ n)$$のように要素を横に並べて書く。したがって列ベクトルは$$x = (x ^ 1, x ^ 2, \ldots, x ^ n) ^ \mathrm{T}$$のように横に並べたものを転置することで表記する。あるいは直接的に

$$
x = \left( \begin{matrix} x ^ 1 \\\ x ^ 2 \\\ \vdots \\\ x ^ n \end{matrix} \right)
$$

と縦書きにすることもある。添字は列ベクトルの要素のとき右上に、行ベクトルの要素のときは右下に書くことが多い。添字が右上にあるとき冪乗と混同しないように注意。

$$A$$や$$H$$のような大文字は行列を表すことが多い。これも$$A \in \mathbb{R}^{m \times n}$$のようにどの空間の元であるか最初になるべく明記する。

$$f \colon \mathbb{R} \to \mathbb{R}$$は$$\mathbb{R}$$を定義域にとり$$\mathbb{R}$$を値域とする関数である。同様に$$f \colon \mathbb{R} ^ n \to \mathbb{R}$$は$$\mathbb{R} ^ n$$を定義域にとり$$\mathbb{R}$$を値域とする関数である。
